ドラマ 『カルテット』。

2017年冬クール。

坂元裕二脚本。

これはいい坂元!!!

『問題のあるレストラン』とか『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』は、私的には悪い坂元。

良い坂元は『mother』『それでも、生きてゆく』『最高の離婚』。

本作品は間違いなく「良い坂元」です。

まず、群像劇として成功しています。

詳しくははしょりますが、カルテットを構成している4名それぞれの背景描写がすごい!

群像劇はどう収斂させるかがキモ、と常に書いていますが、非常にうまく着地させたと思います。

さて、それぞれの描写の中でも、松たか子クドカン夫婦の描写が秀逸です。

ドラマ前半では夫が行方不明になったということしか触れられないまま、第7回で視聴者の予想の斜め上行く真相が描かれます。

それがほんとにエグイのです。

仕事で知り合った二人。

夫はバイオリン奏者という妻のミステリアスな部分に惹かれ、ひとめぼれ状態。

男性にありがちな女性への幻想ですね。

妻は当初単なる仕事上の関係者としか見ていなかったけれど、徐々に惹かれていく。

「この人となら家族になれるのでは」。

ところが夫は妻に対して「ずっと恋人のような関係でいたかった」と思っていたのです。

その期待に反して、仕事を辞め専業主婦になった妻の世界は狭く、徐々に物足りなさを覚える。

決定的なのは価値観の相違。

自分が好きな詩集を、最初の9ページ(!)しか読んでない挙句、鍋敷きにする始末。

人生で最高傑作と位置付ける映画を一緒に見ていても「この人いい人?悪い人?」と聞いてみたり、最後は爆睡!

男性だなぁって思うのが、「言っても仕方ない」って最初からあきらめてるんですよね。

きっと「俺が我慢すればいい」とも思ってそう。

で、ある日突然我慢の限界が来て失踪。

妻はそんな夫の気持ちに一向に気づかない。

大雑把な妻は、夫が大切にしているものをことごとく踏みにじってることに。

それどころか、「夫と家族になれた」「気を使わずに自然にふるまえるようになった」とむしろ関係性の変化を喜んでるわけです(爆)。

男女の関係ってそんなものかも知れませんね。

価値観ぴったりの男女が夫婦になって、それが果たして上手くいくのかも謎ですよね。

子供がいればそんな二人のしっくり行かない関係性に目をつぶって生活に追われていれば済むのかもしれないけれど。

私は子供がいないまま結婚生活20年目に突入しているので、身につまされました。