涼し気な贈り物   ベルント・フリーベリ

思いがけない経路をたどる台風が走り、芯まで乾いていた大地に雨水がしみわたり、お庭の草木がホッとしたような表情に見えます。

雨が降ると色とりどりの傘が花開くように、店内にはベルント・フリーベリによる美しい色の北欧のやきものが並びます。先週金曜日から始まりました『北欧モダニズムと遊ぶ ベルント・フリーベリ展』。

今週も引き続き展示しております。

今回の展示は「見立て」をテーマに集めた作品が並んでいます。

お茶碗や、酒器、汲出や器等にもお使い戴けそうな作品が揃います。

前回のブログでもお伝えしましたが、フリーベリは自然美の他、日本・中国・朝鮮の古陶磁などからインスピレーションを得て作品を作っていらっしゃいました。

そのせいか、フリーベリの作品と知らずに入っていらしたお客様の数人から「この美しい色の焼きものは“何焼き”ですか?」とご質問を受けたほど。

寒い冬の時期が長く、昼間も空は厚い雲に覆われることの多いスウェーデン

暗い天候のせいか少しでも室内が明るく見えるよう天井や壁は真っ白のことが多く、その室内で映えるように色が鮮やかなものが多いようです。

ただ、鮮やかと言っても派手なのではなく、優しく甘い、ノスタルジックな雰囲気を残しているのがまた魅力的です。

そんな焼きものだからこそ、現代の生活に取り入れやすく、普段の生活にも自然に馴染んでくれるのではないでしょうか。

ではその中から、やや小振りの茶碗や酒器に向きそうなものを選んでご紹介いたします。

【茶碗】

113:鉢台風が過ぎ去った後の抜けるような空色の鉢。

スリムな擂り鉢状の鉢にお抹茶を立てれば、それは美しくお抹茶の緑が映えそうです。

109:鉢白い素地を生かしたアイスカフェラテのような鉢。

グラデーションで馴染むその境が揺らぎ、穏やかな表情となっています。

掌に収まるサイズももまた嬉しい大きさ。

106:鉢やや小ぶりのサイズは、この季節、旅茶碗などに使えそう。

柔らかなマスタード色には窯変して抹茶色に変化していくのもまた面白く、お抹茶との相性も良さそうです。

【酒器】

50:小鉢深く青みを帯びた山鳩色の小鉢は、釉垂れの表情も景色となって面白い。

51:小鉢マスタード色の濃淡で禾目が入る表情が見ていて飽きがきません。

53:小鉢複雑な色合いは、淡いオーロラのような色合い。

フリーベリもスウェーデンの空に浮かぶ、こんなオーロラを眺めていたかもしれない。

17:小鉢外側の穏やかな表情と、見込み側の赤味を帯びた表情の色々な表情が愉しめる作品。

見込みは、力強い瞳のようで、こちらを惹きつけるエネルギーを感じます。

60:小鉢盃としてはやや大きめのサイズになりそう。

小麦畑の稲穂が風になびいているような、そんな雰囲気の色合いです。

62:小鉢緑水晶のような落ち着きある色合い。

盃として使ったら、心地よい酔いに導いてくれそうです。

【酒器】

46:花器小さな白い花器は、高台内に「1977」と刻まれており、晩年の作と分かります。

ちょっとした野の花も可憐に惹き立ててくれそうです。

世界の幸福度ランキングの上位にいつもランキングするスウェーデン

スウェーデン語の?Lagom(ラゴム)?には、日本語でいうと?これがちょうどよい?というような意味があるそうです。

多くを求めず、いい意味で?脱力?し、自分だけの時間を好きなものに囲まれて過ごし、その時間をいつくしむ暮らし方を意識的に楽しむこと。

そんな素敵なスウェーデンの文化も感じながら、気になる一点を見つけて戴けましたら嬉しいです。

店内に並ぶ作品を眺めていたら、スウェーデンから届いた涼し気な贈り物の様に見えてきました。

(葉)

北欧モダニズムと遊ぶ ベルント・フリーベリ展

Exhibition of Berndt Friberg

開催期間:7月27日(金) 〜 8月7日(火)

Exhibition :July 27 to August, 2018

休業日:2018年8月2日(木)定休

11:00〜19:00

共催

ギャラリー北欧器

http://hokuouki.com/index.html

【陶歴】

ベルント・フリーベリ

Berndt Friberg

1899    スウェーデン ホガナス生まれ。

1912    13才で作陶助手として働き始める。

1934まで 轆轤職人として下積み時代を過ごす。

1934    グスタフスベリ製陶所に籍を置く。

       巨匠ウィルヘルム・コーゲ氏に師事。

1941    独立